合板、集成材の寿命?

無垢材と木質材料の違い(無垢材と合板の話)の話をしましたが、合板(フローリングや構造用合板など)や集成材などの寿命について、考えたいと思います。

最近、家は大きな『消耗品』と考えられる消費者も多いとの事ですが、実際、住宅ローンが払い終える35年もの間、建物を維持する為に行う、日々のメンテンス

やリノベーション費用などが、トータルで数百万円、いや数千万円になっては困りますね。実際、ローンが払えなくなります。近年、あまりにも低い、建築コストや

国の指針もあり、耐震壁や屋根下地などに合板が使われる事が多くなりました。建物の中でも重要な部位を造る為の材料の話で、湘南でも、非常に多くの建設

現場で採用されています。

 

 

構造用合板などは、複数枚数の単板を繊維方向を交互に重ねて熱圧接着したもので、接着剤を用いて

います。特類といわれる合板は、フェノール樹脂接着剤等を使い、常時湿潤状態における接着材の性能

試験をしたものです。特類の合板は、外壁下地、床下地、屋根下地など、水に濡れる恐れのある下地

などに多く使われています。合板の製品試験の内容とは、72時間煮沸の後に剥離がないかを試している

だけで、湿潤状態と乾燥状態を繰り返し続ける環境下での耐水性能が充分かと言われると、そうとは思え

ません。特類の合板というのは、合板の中では耐水性能が非常に高い合板と言う程度の建材である。

そして、一般に、特類の構造用合板でも、10年で8%程度の劣化が記録されているように、良好な環境下に

あっても、接着性能が永遠に続くものではないのです。

また、構造用合板の欠点は、数枚の薄板を接着剤で貼り合わせるので、透湿性能が悪いだけではなく、吸湿性はあるが、木材が本来有している放湿性能が

ない事です。そのため、湿気を吸うと、吸った湿気はなかなか抜けずに、接着剤の強度が落ちるだけでなく、合板のもう一つの構成要素である木材も腐り易く

なるのです。構造用合板には、接着性能の他に、使用木材の強度を表す等級が示されている。この等級には1級と2級があり、1級のものは曲げ性能、面内せん

断性能等について試験を実施し、特定の基準値を満たしたものを示しています。2級のものは、そうではないものを示します。一般に、構造用合板は2級でも

これらの特性に優れているため、特別な用途でない限り、壁下地・床下地・屋根下地においては2級が主に使われることが多い。しかし、これらの強度も、

接着材が一定の接着性能を有しているときに初めて発揮されると言う事です。

また、構造用合板は有害物質であるホルムアルデヒドの放散量をF☆~F☆☆☆☆で表してあり、近年では、シックハウス症候群への関心の高まりから、合板には、

ほとんどF☆☆☆☆しか使われない。しかし、F☆☆☆☆といえども、ホルムアルデヒドは全く放出されないわけではなく、0.3mg/l 以下の放出量と規定されて

いるように、ある程度はされています。 更に、この放出量は気温20度での測定で、30度に上がれば約3倍、35度になれば約5倍の放出量となる。また、これは

ホルムアルデヒドだけに対する規定であり、トルエン、キシレン他の化学物質の放出まで規制しているものではないのが、あまり知られていない現実です。

このように、F☆☆☆☆は、凄く安全な建材というわけではなく、ホルムアルデヒドに限り、他の接着剤を使った建材よりも安全という程度に思っておいた方が良いで

しょう。このような性質を持つ合板だが強度が高いので(少なくとも湿気を帯びていない初期性能としては)、木造の建築物では、外壁の下地材、屋根の野地板

や、床材などに多く使われています。

現在、行政では、構造用合板を使うことを推奨しているというか、フラット35などの工事仕様書の解説でも、構造用合板を使用するのが前提の様な内容になっ

ているのが現状です。このようなことは、金物や、プレカットなども同様で、ある決まった規格に全てを当てはめれば、良い住宅が出来るというような誤解を与える

ような偏った基準になってしまっています。その結果、国の進める方針は、初期性能に対しては丈夫になるが、経年劣化まで考えておらず、非健康、耐久性が

劣る、住宅を推奨している様にも思えてしまいます。

以前、国が進めた推奨事業『100年住宅』の寿命が30年無かったように、住宅性能表示に示されている劣化等級はとても使い物にならない規定だとさえ

感じてしまいます。今の住宅性能表示に示されている耐久等級3というのは、普通の家という感じであり、性能表示が示すところの 75~90年間保つ家にな

るとは、思えません。耐久試験は、個々の建材でも、住宅全体のシステムとしても全く試験してないのが現状です。、壁体内結露対策に関しては、外壁に

通気層を設けるとなっているだけで、これは構造用合板を使わない軸組のみに有効で、構造用合板を使った場合は、雨水の壁内への進入や、壁の輻射熱

対策には、多少なりとも有効ですが、壁体内結露への影響は無いといっても構わない。というより、逆に、外壁に構造用合板を使うと、その性質からか劣化は

激しくなるのでは?最近は、透湿抵抗の低い構造用面材も出ているが、これらも結露するまでは有効ですが、一旦結露が起こると水分を排出する効果は

“ない”です。

ワイズの結論:合板などの工業建材は、無垢の材に比べれば耐候性は低いのです。


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