建物は、大磯でも地の方の多く住まれる、閑静な住宅街の一角
住まい手は、ご夫婦のふたり暮らし。
今回の建築地も、当初から住まい手と二人三脚で探し、吟味した土地になります。
建物のご紹介の前に、少し土地探しのお話をさせて頂きます。
家づくりの計画は、土地探しからはじめられる方も少なくないと思いますが、施工者・設計者側サイドから言わせて頂きますと、家づくりを計画するにあたり、建築地が決まっていない段階から建物を検討していくと言う事は、非常に良い事だと思います。
ご存知かも知れませんが、各種法的規制等や造成の有無や設備、建築など、土地と建物を合せた総コストを都度検討しながら候補地を探せるからです。また、首都圏の場合、建物よりも土地の方にかかる予算のほうが張るかに大きいケースが多いですが、土地は、その場所が気に入れば、どちらで購入されてもその土自体に変わりはありません。
しかし、建物はそういうわけにはいきません。住まい手のご希望や快適な建物をどこまで形で表せるか、それは設計者・施工者のセンスや技術力が問われます。家づくりの第一歩は、作り手と住まい手が協力し合い、土地探しから踏み出される方が、弊社の場合は、8割以上と多くいらっしゃいます。
土地探しの第一歩は、不動産業者からではありません。要注意なのです。
特に気をつけて下さい。長年の経験上、土地購入後に建物の検討に入られる方々は、色々な意味で後から困ることが本当に多いのです・・・後悔先に立たず。その理由は・・・?!
土地の購入から検討されている方々には、「良い土地の見つけ方」のセミナーも個別に行っていますのでご興味があればお声がけ下さい。
本題に戻しますが・・・
ご夫婦でのふたり暮らしと言う事もあり、ご趣味(と言うより本業?)の陶芸用アトリエ兼、後にギャラリーも行う事の出来るようなスペースが必要な家づくりからスタートしました。住居部とアトリエ(兼ギャラリー)は、別区画にする必要が有れど、かと言い普段は、住居としての使用がメインなので、動線が無理の無い様にしながら、住居空間にも取り入る事が可能であり、いざとなれば、無理の無い様に別空間にも出来る・・・そんな空間を仕切る事も合せる事も出来る共用部分は、玄関土間空間として、名の通り、どちらのスペースにも通じるエントランスとしました。
土間空間の北側窓からは、年えを通じて柔らかな採光と坪庭が望める様にFIX窓・・・。坪庭は、まだ未施工です。
アトリエ側の壁は、名の通り《赤土壁》。陶芸作品や季節の草花を飾る事の出来る下足入れ兼カウンター
Y’s特注の室内建具の引戸。いわゆる、はりぼての薄板貼り戸では無く、無垢材30mmの板戸なのです。巾もいくらでも大きくつくれます。
ここで皆様お気づきでしょうか?
この家には、いわゆる玄関ホールの言うものがありません。Y’sの家づくりでは、度々、ホールが無い家がありますが、それは・・・必要が無いからなのです。Y’sの家づくりは、夏涼しく、冬暖かくが基本中の基本のコンセプト。夏場は、エアコンなどの機器に頼らずとも快適に過ごせる事が基本なのです。この記事を書いている2019.8.10は、日本全国はもとより、神奈川の湘南地域も37度を越える猛烈な暑さですが、この猛暑日である昼間でもエアコンは使用されていませんでした。Y’sの家に住まれる方々の多くが冷房エアコンは未使用の方々が多い理由は、風の流れをしっかりと計画している事なのです。勿論、土壁や無垢材の天井、床、壁、建具なども湿気取りに活躍してくれていますが、やはり決めては間取り、プランなのです。
夏は通風を最大限に活かす様、玄関は開けておき、主の風の通り道も、引戸で簡単に開閉が出来る事がポイントなのです。答えは意外と簡単ですよね?しかし、これが出来ていない、出来ない原因のひとつが先の玄関ホールなのです。多くのお宅では、リビングより玄関ドア手前にあるだろう玄関ホール。開閉部は、玄関もリビングもドア。玄関ドアなどは、開けっ放しには出来ない為、これでは、各室に行き渡る通風を確保する事が出来ないのです。
玄関の戸袋には、戸だけでは無く網戸も内蔵。実は日中、室内は余り見えません!
ダイニングスペースも造りません!これもY’sの家づくりには多いプランパターンなのです。勿論、大きな敷地、大きな建物で有れば、大は小を兼ねると言う事もあり、色々な用途の部屋やスペースを多くとるなどの案もあるとは思いますが、Y’sの家づくりでは、家は『小さく建てて、広く住む』が基本。家は大きく建てては駄目なんです・・・その理由は、少し長くなりますので、またの機会とします。
Y’sでは、ダイニングスペースは、限られたスペースの中で真っ先に、無くしても良いスペースの候補に上がります。朝は、家族でごはんを食べ(食べる場合)、昼は奥様だけ(若しくはお仕事で外出)、夜は家族でごはん・・・ダイニングは小さくとも約4畳分のスペースを要します。このスペースでの飲食の使用回数は、多くて2~3回、少ないお宅では、0~1回しか、この4畳のスペースを使用しないのでは無いでしょうか?そのスペース分を他に使えば、納戸もつくれます。パントリーもつくれます。ダイニングに代わるスペースはリビングでも良いのでは無いでしょうか?このお宅では、多くの来客(住宅・ギャラリー)を見越して、リビング家具は、3~4人掛けソファでは、多き人数に対応が出来ない為、リビング自体を小上りの畳としました。スペースは6畳ほどですが、大人が8人座っても余裕があるのです。突然のゲストの宿泊時などもこのスペースを使えます。リビング畳は有り!です。
15cmの小上りにしているのは、埃を呼び込まない為の工夫とちょっとした腰掛にも出来る段差なのです。
大きな窓には、必ず内障子(冬障子)が必要です!冬障子は、目隠しはもとより、断熱、採光拡散、湿気調節など全てに万能なのです!!
玄関~リビング~キッチン~洗面~ユティリティー(パントリー・洗濯場)まで、引戸の開閉だけで、全てに風が行き渡ります。
冬場は暖めたいスペースだけ断熱性の高い無垢材引戸で仕切ればOK!
二階は寝室と予備部屋。Y’sの通常仕様の糊土仕上げ。勾配天井の板貼りも。
寝室のWIC(ウォークインクローゼット)は、仕上げを漆喰に変更
Y’sのものづくりは・・・
小物から・・・
基本は、すべて造作にてお造り致します!!!
ちょっとした縦格子ですが、勝手口ドアの目隠しをする事により、周囲からのプライバシーを守りながら通風を行えます。
敷地の段差は全て石積(野面積風)ブロックは嫌なのです(笑)植木も生産農家まで同行し色々悩み選びます。思い入れが違います・・・。
今回は、《赤土壁》のある家のご紹介と併せて、間取りの考え方や採光、通風を考え方、工夫の方法などをご紹介させて頂きました。巷では断熱性や耐震性などや如何に効率よく電器機器を使用するかの家づくりを多く見かけます。どれが間違い、正解は無いと思いますが、Y’sでは、ほど良く都会でほど良く田舎の湘南地域と言う事もあり、なるべく機器だけに頼らない家づくりを目指しています。その為にも、日本古来から伝わる材や工法、家づくりの考え方を踏襲しつつ、現代のライフスタイルに合わせた家づくりが出来ればと考えています。
冒頭、土地探しのお話をさせて頂きましたが、まずはご自身で先走らずに、一旦足を止めて、話や文を見聞きし、家づくりの勉強をして下さい。そんなに難しい話ではありませんので。家づくりは慌てずに行って下さい。ご家族皆様が健康で楽しく、快適に住まわれる家の為に、、、。
是非、参考にして頂ければ・・・
・
・
・
古材と土の家①へ ⇒コチラ
古材と土の家②へ ⇒コチラ
「Y’sで使う材」の記事は⇒コチラ
宜しければ⇒コチラのY’sの裏話もご覧下さい!
・
・
・
湘南 ワイズは地域の建築を創造していきます