今年も残す所あとわずかですが、何とか年内に土壁作りの為の荒壁をつけておきたく(私達にとっては)宝の山へ。
販売をされているご主人と少し話をさせて頂きましたが、需要が年々減り、店を閉めよいと思っている・・との事。本来は、その土地にある土を使い、建設地で土を広げ、土壁用の材を作るのですが、首都圏では工事車両1台すら停める事が出来ない場合も多く、土壁用の荒壁を現地でつくる事は不可能に近いといえます。
その際、泥(どろ)コン屋と呼ばれる業者に注文をする事になります。実際に土壁に使用する荒壁(あらかべ)土をすぐに施工が出来る様に販売されている泥コン屋さんは、全国でも珍しくなってしまいました。私の知る限りでは、東日本では皆無で、近県だと長野県に1件、愛知県でも数える限りです。
切り藁と荒壁土
この荒壁土は、安に土と藁を混ぜれば良い訳ではありません。土は一見同じように見えても、同じ地域であって、掘り出す地層によって特性が違い、場所が1mずれれば違う土となる事もあり、壁に使う様に、採取される土を季節、特徴により配合を変える経験と専門知識が必要なのです。
そんな泥コン屋さんの荒壁土ですが、土壁と需要が減っているのではなく、つくり手も含め、その存在すら知らないほど、誰でも簡単に使用できる工業製品だけで行う家づくりが普通の世になってしまっているのでは無いでしょうか?泥コン屋さんしかり、左官職人、設計士、工務店に至るまで、関連する全ての造り手に言えますが、自然の材を扱う際は、技術はもとより、知識や経験が最低限必要ですが、何より、住まい手の心地よい暮らしを考える想いが必要かも知れません。その想いがあれば、安に早いから、簡単だから=儲かるの図式で考えで家づくりをしないはずです。
運送業者に任せず、土の質を確かめるため、自ら産地で向かい、運搬します。
未来に続かない伝統は消滅して然るべきと言う意見も世には有るようですが、その前に、皆さんは、土のよさを知っていますでしょうか?今後、いくら科学が発達しても、自然が育んだ本物の材には敵わないのではないでしょうか?
土壁だけでなく、土は本当は、もっともっと身近な存在で、人が住まう『家』にとっては、最良の材料なのです。いまでも世界中の7割以上で家づくりにのに『土』が使われています。それは先進国も変わりはありません。家(建築)はその国の文化・・・と銘打っているフランスや各国と違い、今の日本は、建築だけでなく、自国の文化自体を軽視しているのかも知れません。皆さんはどうお考えでしょうか?見聞きするだけではなく、実際に土壁に触れ、五感で感じて下さい。
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住まいに求められているのは全てにおいて『本物』信じ、Y’sは、今日も家づくりに励みます。
『湘南・土の家』掲載 チルチンびと 季号86冬 p.254~p.257に掲載 詳細はコチラ⇒
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