2012年10月22日、丹沢湖方面へ。この度、大正時代に建てられた築80年の家屋の建て替えという事で、家主さんよりその古材を頂けるというお話があり、とある民家を訪問させて頂くことになりました。
現場へ向かう途中にあったのが、“かながわの建築物100選”に選定された『三保の家』。
江戸時代末期に建築されたこの民家は小屋裏で養蚕を行うため、採光や通気の為に妻側の屋根を切り上げた『かぶと造り』の典型例と言われ、丹沢湖の湖底に水没した民家を移築・復元したものだそうです。
当時の家財道具や写真などが数多く展示されていました。
そこからさらに先へ進み、今回お話を下さった家主さんの元へ‥
現場では解体工事の準備が進められていました。
古材とは、昭和25年(西暦1950年)以前に建てられた民家に用いられた木材の事を言います。
戦前の日本では、その土地々で採れた良質の木材を、長時間かけて自然乾燥をさせ、建築に使用してきました。木材は、乾燥するほど強度が増し、丈夫になります。しかし戦後の高度経済成長に伴い、生産効率を重視し強制的に乾燥させた木材や、外国から輸入をした安価な木材が多く使われるようになってしまいました。
古材には、経年変化に伴った、木材の黒ずみ、傷、割れなど、既製品にはない独特な表情があります。それは、単に長く使われた『古い材料』という理由だけではなく、長年家を支え続ける事の出来た『丈夫で長持ちする貴重な材料』である証なのです。
戦後『モノを長く使う』ことよりも『モノを買い替える』という消費社会となってしまったことで、人々の考え方、価値観は『家は消費するもの』という考えに変わりつつあります。
家は『いきもの』です。呼吸をさせ、きちんと手入れをすれば、長生きするのです。
丈夫で味わいのある古材は、そのままの風合いを生かし、化粧として魅せる事も出来れば、表面を削ってまた新しく利用する事も出来ます。
譲り受けた古材達がまた新しく生まれ変わった時、家主さんへお見せするのが楽しみです。
Y’s staff
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